1949年生

透かし文様茶碗

 皆様、本当にお待たせしました。
 私の記憶では、かれこれ8年の歳月が流れたと思う。御厨ガラスの抹茶碗でお茶を飲みたいと思ったあの日から。この項でも過去に表現した「やわらかい飲み口のガラス器」、そんな御厨ガラスで夏の季節に冷たく冷やした抹茶をいただいてみたかった。
 この8年間には、試作に試作を重ねる日々は言うに及ばず、体調の変化や、一人では多くの時間を費やさなければ作れないほどの食器の注文に追われた時期もあったようである。試作品を持ち帰り皆様にお抹茶を振舞った日々、色ガラスの種を拝見し完成に想いを馳せたあの頃、被せガラスのために一工夫も二工夫も改良した窯を見せてもらった日。今となっては、すべてがこの日のための準備期間だったのだと納得した。
 陶磁器を中心にこの20年歩んできた当ギャラリー。漆器や錫器の展覧会も開催させていただいたが、ガラス器の個展は初開催である。初心に戻って、すべてが新鮮でいつも以上の緊張感の中にいる。そんな店主の気持ちを察してか、御厨作品はゆったりとおおらかに私に微笑みかけてくれる。「大丈夫。本当にこころを込めて、溢れる情熱を精一杯かけて、私たちを生み出してくれましたから。」と。
 御厨正敏。もうすぐ古希を迎える。今回の展覧会タイトルについて問い合わせると『現代長崎びいどろ・御厨正敏展』でお願いしますという答えがかえってきた。十数年振りに個展をされるという御厨さんのこころを受け止める展覧会にしたいと思っている。

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